アグライア・コンラッド
Keijiban Apparatus (Tribute to Photography)
2021
ムンケンリンクス紙(100 g/m2)両面にそれぞれオフセット印刷とシルクスクリーン印刷
88.2 x 56 cm
限定40部、作家によるサイン・ナンバリング入り作品証明書付き、アーティストプルーフ5部
このエディションは Japan Works(Roma Publicationsにより2021年発行)の印刷紙よりランダムに選択されたシートによって構成されています。そのため白黒写真はほぼ全てのポスターで異なりますことをご了承ください。
2021年夏、アグライア・コンラッドは新刊 Japan Works(Roma Publications発行)を刊行した。これは、2019年にメタボリズム建築プロジェクトのリサーチのために彼女自身が巡った日本の本州の旅を元に制作されている。Roma Publications が言うように、「こういった歴史的で象徴的なメタボリズム建築は、彼女にとって、建築が置かれた都市環境の曖昧さや当たり障りの無さを同じ熱烈さで探索するきっかけでもあった。自由な連想で組まれたフルページの写真と、この旅の時系列に並べたコンタクトシートが交互に配置されている。」
Keijiban Apparatus (Tribute to Photography)は、この本から物理的に派生した作品であり、製本前のJapan Works 用の印刷紙によって構成されている−まるで障子の枠のように白黒写真が配置され、余白にはトリムマークなどの印刷指示が入っている。ベルギーでオフセット印刷されたこの紙に、日本でさらに表面の三分の二、裏面の三分の一に、黄色の層がシルクスリーン印刷により追加された。
この黄色のレイヤーは、白黒写真家に広く使用されているカラーフィルターを参照している。この黄色のフィルターは、様々な色合いをそれぞれの固有のグレートーンに変換することで、画像のコントラストを高め、画像は深みを増す。コンラッドはしばしばこの手法を用い(正にKeijibanにおける一ヶ月の展示の様子のように)、ウインドウなどの表面をフィルムなどで覆うことで、建築と写真の境界線を曖昧にし、それぞれの持つ性質をお互いに投影させてきた。
多層的な構成を持つKeijiban Apparatus (Tribute to Photography)は、写真、建築、本などいかなるメディアであれ、その構築的な要素を作品に立体的に取り入れることへのコンラッドの熱意を見事に体現している。
アグライア・コンラッドの展示は2021年9月15日から10月14日の期間、Keijibanにて行われました。同時に、IACKにて“Research – Progress – Practice”の第3弾企画として、Keijibanの新エディション作品が展示されました。