アナ・ジョッタ
Loves me, Loves me not...
2022
手染め手拭い、両面印刷の帯
手拭い:90 x 37 cm、帯: 27 x 8 cm
限定100枚、ナンバリング、作家オリジナルの印鑑による押印入り
この手拭いは、色を両面に浸透させることで模様がどちらの面にも綺麗に現れる、近年の印刷技法とは異なる伝統的な「注染」という手染め技法にて作られている。さらにこの手拭いには、二色の染料を混ぜ合わせずに、隣同士に、または重ねて用いる繊細で精密さを要求される「細川染」も施されている。この技法では、一色目を染めてから布を洗い、乾燥させる工程を経て、さらにもう一色を染め上げる。乾燥による縮みにより、重ねた2度目の染めが最初の模様から僅かにズレるところが味わい深く、ここに熟練の職人の技術が現れるとともに、一点ものの風合いが生まれる。
このエディションを制作するにあたり、アナ・ジョッタは注染技法に特徴的な両面性に着目し、裏も表もない、両面作品を作った。作品を見るための正しい方向も間違った方向もなく、オリジナルでも複製でもない。見る者の解釈や文化的な読み解き方によって、カーテンは開かれていくようにも、今にも閉じていくようにも見える。タイトルの「Loves me, Loves me not…」はまさにその曖昧さを強調するようである。
カーテンは、ジョッタが劇場や映画館のステージデザイナーを務めていた1970年代初頭から彼女の作品制作における中心的な要素の一つである。ビジュアルアーティストとして、彼女はしばしばカーテン(またはその他の布を使った作品)を、折り畳んだり伸縮させることができる装置のように展示スペースに配置したり、秘匿や露見を行き来する物語的要素として活用してきた。手拭いは両面の帯によって閉じられており、両面のカーテンというモチーフがここにも繋がっている。そこにはアナ・ジョッタによるカーテンと舞台裏のシーンのドローイングが描かれている。
アナ・ジョッタの展示は2022年8月1日から9月14日の期間、Keijibanにて行われました。