エリカ・バウム
Checkered City
2025
Cプリント
25.3 x 26.7 cm
額装なし
限定23部、アーティストによるサイン・ナンバリング入り。アーティストプルーフ2部、パブリッシャープルーフ2部
Price
¥40,000
エディション
本作は、主にニューヨークの街路で撮影された写真シリーズ《City》の一部である。被写体は主にファウンドオブジェや建物のファサードである。一見すると、このシリーズはバウムの作品の中で異彩を放っているように思われる。言語を扱った作品はほとんどなく、また彼女の特徴であるクローズアップや脱文脈化の手法もほとんど見られない。しかし、注意深く観察すれば、《City》は《Card Catalogues》《The Naked Eye》《Patterns》といった代表作と自然に呼応していることがわかる。ここでも、バウムは記号の収集者としての活動を続けている。ただし、図書館や書籍、新聞などの印刷メディアではなく、都市という舞台に目を向けている。都市そのものが、秩序立っていながらも不安定な記号体系として捉えられており、そのユーモアの感覚はリー・フリードランダーを思わせる。《Checkered City》では、あたかも掲示板かのようなガラス張りのショーウインドウに映る反射の戯れが巧みに演出され、都市と写真家自身が色鮮やかな格子模様の中に吸収される。まるで巨大な抽象画のようだ。しかし、その規則的なパターンを突如として乱すのが、一片のグラフィティである。こうして、現代都市という記号のミルフィーユに、さらなる層が加えられていく。