オリヴィエ・フロンは1976年生まれ、ベルリン(ドイツ)在住。スーチャン・キノシタは1960年生まれ、ブリュッセル(ベルギー)在住。
フロンとキノシタは、それぞれが長年アーティストとしての活動を行いながら、他のアーティストたちと共同名義での活動も行なっている。
スーチャン・キノシタにとっては「Tokonoma (トコノマ)」もそのような作品の一つである。これは2012年から制作されているシリーズで、垂直に張られた複数の面を斜めの線で結んだ構造に、他のアーティストを招待して作品を制作する協働作品である。オリヴィエ・フロンはその招待アーティストの一人であった。この複雑なインスタレーション作品は、アート作品の様々な物理的、コンセプト的領域を探索しようと、相関する展示のレイヤーおよび、絶え間ない侵入や超越の生成を促す試みである。
この2年後、二人は新しい「トコノマ」作品の発表のためにニューヨークにおり、この機会にゲーテ・インスティトゥートでのレジデンシーにて共同絵画セッションを行った。二人は隣で制作し、ベルギー人アーティスト、ウォルター・スウェネンの一枚の—直前に売却され、「トコノマ」NYには組み込めなかった絵画作品「Cigarette」(2014年)—を「出発点」とした。このシリーズはのちにDhondt-Dhaenens美術館(ベルギー)のBiennial of Painting (2020年)に展示され、これ以降カラオケペインティングと呼ばれることになる。
この二つのシリーズ作品を機に、フロンとキノシタの際立ったアーティストとしての活動が真正面から交わったと言えるだろう。つまり、アートにおけるコラボレーションや伝達、一つの素材から他の素材への移行、そしてアーティストの役割への問いかけなど極めて重要な問題についての合意である。
オリヴィエ・フロンの最近の個展:「Pollock Power」、Clages、ケルン(ドイツ)、 2022年; 「Le soleil sonne」、Nadja Vilenne、リエージュ(ベルギー)、2021年; 「Share」, VIS、ハンブルグ(ドイツ)、2019年。オリヴィエ・フロンの作品を取り扱うギャラリー:Clages Gallery (ケルン)、Nadja Vilenne Gallery(リエージュ)、dépendance(ブリュッセル)
スーチャン・キノシタの最近の個展:「Architektonische Psychodramen」、PAKT、アムステルダム、2022年; 「On Celestian Bodies」、Arter、イスタンブール、2021年; 「Risquons-Tout」、Wiels、ブリュッセル、2020年。スーチャン・キノシタの作品を取り扱うギャラリー:Nadja Vilenne Gallery (リエージュ)、Ellen de Bruijne Projects (アムステルダム)、Hidde van Seggelen Gallery(ハンブルグ)