大野晶は1990年リューネブルク(ドイツ)生まれ、東京在住。
大野晶の作品は主に最小限のフォルムと、限られた、しかし繊細な色彩のレパートリーを持つ小さな粘土彫刻で構成されている。しかし、これらの作品が見せる控えめさと明らかな遊び心は、その強い分析的野心を隠し続けることはない。
最も古風で直接的な立体造形の方法である粘土造形の実践のみを通して、大野は原初的な構造に立ち戻ることへの関心を示している。各作品は、裂傷、溝、押しつぶすか広げるか、くり抜くか加えるかといった、ほんのわずかな本質的な介入を受けるだけである。多くの場合、これらの痕跡は、作品に残る手や指の跡を含め、指の存在を証明している。大野の作品は基本的に触覚的だが、それは単に手のひらサイズだからというだけではない。
しかし、彼女の作品に曖昧さ、ひいては力を与えているのは、厳密な脱構築の域を超え、絵画の領域と対話するからである。粘土につけられたマークは、バロックの緞帳や抽象絵画の鮮やかな表面を思わせる。それらは、ロバート・ライマンの筆跡やルチオ・フォンタナの穿刺、あるいは多くの場合、他のまだ定義されていない幸福な絵画的発明を想起させる。この意味で、アーティストが彫刻の文法を探求しているとすれば、それは彫刻に絵画の言葉を語らせることなのだ。
大野晶の作品を取扱うギャラリー:XYZ Collective (東京)