ヨヘン・レンペルト
Halo
2021
ヴァンヌーヴォースノーホワイト紙(215㎏)にオフセット印刷、手彩色
20.5 x 14.6 cm
限定60部、作家によるサイン・ナンバリング入り作品証明書付き、アーティストプルーフ12部
Halo(ハロー)はヨヘン・レンペルトの一連の作品において特徴的な作品である。彼は独特の白黒アナログ写真で知られているが、今回のエディションには色を加えている。これはさりげないが計算された、そして着実な変化である。写真には、グレーの色調に過不足なく調和する薄い黄色で、一部分のみ手彩色が施されている。
写真の手彩色は写真の登場の頃まで遡る技術で、写真をより現実に近づけるため、特に日本で非常に人気があった。しかしレンペルトの場合は、逆にイメージに絵画的、および抽象的な要素を付与するためにこの手法を利用している。黄色が、写真中心部でハロー(丸い光の輪)のように輝く、幾何学なまでに完璧な円を際立たせているのである。
そして同時に私たちはこれが蛙の目であることに気が付く。蛙は真っすぐに、おそらくは無関心に私たちを見据える。まさにそれゆえ、撮影するカメラを蛙が見るだけでなく、蛙がまるで真ん中にシャッターがついたカメラであるかのように見えるのである。写真の切り取り方やフォーマットによってこの類似性が協調されている。
さらに近寄って写真を眺めてみると、人影-写真家本人の姿-が蛙の瞳に反射しているのを見て取ることができる。彼はこの写真を撮りながら、蛙に、写真を見る人々に、そして自分自身に「ハロー」と手を振っている。レンペルト作品の美しさや深みはこのような状況によく立ち現れる。自然と文化の境目が曖昧になる時、人間と自然が反射し呼応し合う、そのただなかに。
ヨヘン・レンペルトの展示は2021年8月15日から9月14日の期間、Keijibanにて行われました。