榎本 耕一
穢土すなわち浄土
2025
和紙に印刷された絵巻物、桐箱入り
325 x 30 cm
限定16部、アーティストによるサイン、ナンバリング入り。アーティストプルーフ2部、パブリッシャープルーフ2部
Price
¥66,000
エディション
このエディションは、本展の核であり、出発点である。それは全長3メートルを超える絵巻物の形をとり、榎本浩一はここに鮮烈で劇的かつ批評的な叙事詩を描き出している。墨絵の技法を用い、彼独特の妙技によって制作された《穢土すなわち浄土》は、暴力と回復の物語として姿を現す。巻頭右側、すなわち読み始めの地点では、登場人物たちが遠巻きに見守るなか、戦士の群れが文化的遺物(本作のような絵巻物)を略奪し、殺戮と破壊が続く。そこには「厭離穢土欣求浄土」という旗が掲げられている。これは日本の戦国時代に典型的な旗印であり、その原理主義的な響きは現代においてもなお共鳴している。
絵巻の中央には唯一、空白の空間がある。その先では、人々が虐殺を逃れ、やがて音楽や芸術へと向かう回復の道を歩み始める。そこには歓喜に満ちた、時に闘争的ですらある行進が描かれている。
ここで榎本は、古典と現代を巧みに融合させている。歴史的な表現(特に合戦絵巻の伝統)と、現代のマンガ的な美学が交錯する。しかし、これは単なる忘れられた伝統の再生ではない。マンガの起源が絵巻物にあることや、戦争というテーマがかつてないほど現代において切実であることを考えるならば、本作は歴史の罠について思索を促す、極めて示唆的な作品となっている。