ルイーズ・ローラー
Misugoshi: Three Flags (swiped)
2022
マット紙にデジタルピグメントプリント
113.5 x 64 cm
限定35部、作家によるサイン・ナンバリング入り作品証明書付き、アーティストプルーフ5部、版元プルーフ2部
額装なし
今回のKeijibanによるエディションは、ルイーズ・ローラーの新しい写真シリーズ作品の一つである。このシリーズは、美術館内に置いたカメラを、シャッターを開けたままわざと動かすことで、撮影される美術作品の輪郭や背景をぼかしたものである。霞がかかったような表情と複数の層が重なりあい、この「Misugoshi: Three Flags (swiped)」はほとんど絵画のように見える。ジャスパー・ジョーンズの象徴的作品「Three Flags(三つの旗)」(1958年)が、当時の抽象絵画主義への挑戦として描かれた絵画の皮肉な転生であるかのように、抽象へと姿を変えていく。
この“スワイプ”シリーズは、ローラーの50年にわたる、アートが保存、展示、配布、受容される現場に光を当て続けた作品制作の流れに沿ったもので、最近のシリーズ「LIGHTS OFF, AFTER HOURS, IN THE DARK」とも比較され得るものである。このシリーズは、2020年、ドナルド・ジャッド回顧展開催中のNYのMoMAにて、ジャッドのミニマリスト彫刻作品を夜間の出口表示サイン、アラームシステム、天窓からの弱い光のみで長時間露光で撮影した作品である。アート作品が過ごす孤独な夜の時間やコロナ禍の落ち込む気分をこの不気味な美しさがまさに表象している。「Misugoshi: Three Flags (swiped)」において、光がようやく戻ってきてはいるものの、影がぼやけた筋を引いている。美術館はすでに一般に公開されているものの、展示作品は気付かれず、見過ごされ、“スワイプ”されているかのようである–タイトルは現代における、スクリーン上でのイメージの消費を匂わせる。
多くの意味において「Misugoshi: Three Flags (swiped)」は、アート作品は私たちの前にどう立ち現れてくるのか(または来ないのか)というルイーズ・ローラーの長年の探索において新たな、そして重要な一章を開くこととなるだろう。
ルイーズ・ローラーの展示は2022年5月15日から6月14日の期間、Keijibanにて行われました。