2005年、ローマ・パブリケーションズは『Short Sad Text』(14カ国の国境に基づく)を出版した。これは、7本の黒い人毛が埋め込まれた2個の石鹸で構成され、7つの人工的な領土の境界線の模様をなぞっている。パサイコはオスロの公衆トイレに一つ目を置き、S.M.A.K.(ベルギー、ゲント)に二つ目を寄託した。「この作品は持ち帰り可能なポストカードのような形で存在する」と出版社は付け加えている。石鹸とポストカードは、芸術の無常さや儚さをテーマとするいくつかのグループ展に出品されている。
さらに、パサイコの作品には、既存のアート作品の「記念品」ともいえるポストカードもある。前述したパサイコ自身の作品のポストカードだけでなく、ピート・モンドリアンやジョルジョ・デ・キリコなど、他のアーティストの作品をウィットに富んだ形で表現したものもある。また、2011年にベルリンなどで巡回開催されたグループ展「The Joy of Pleasure」(2011-12年)では、彩色されたカーテンのような「The Folds」(2011年)を展示した。
最初の作品「Short Sad Text」から約20年、彼女は2024年に、詩集の形で構想された10点の作品を含む出版物を携えて戻ってくる。再びローマ・パブリケーションズから出版される本書は、Keijibanによる特別日本語版である。この出版物の発売を機に、日本で初めての個展を開催することになり、Keijibanの掲示板と新しい展示スペースYonkaiでの同時展示となった。その後数ヶ月の間に、パサイコはコルトレイク・トリエンナーレと、Mミュージアム(ルーヴェン、ベルギー)で開催されるグループ展「Alias」にも参加し、30人以上の架空のアーティストの作品を展示する。