リチャード・タトルは1941年、米国ニュージャージー州ラーウェイ生まれ。ニューヨーク、ニューメキシコ州アビキウ、メイン州マウント・デザートに在住。
リチャード・タトルは、過去60年間にわたり芸術の中心人物であり、数世代のアーティストに決定的な影響を与えた。当初はポスト・ミニマリズム運動と結びついていたが、すぐにそのレッテルから自らを解き放ち、繊細かつエキセントリックで、自立性を追求する先鋭的で、挑戦的な作品群を展開している。
彼の作品は、彫刻、絵画、アーティストブック、テキスタイルデザインなど、さまざまなメディアで具現化されているが、彼の作品の骨格を形成しているのは、広義にとらえれば書や詩にまで及ぶドローイングであろう。ありきたりで、壊れかねない素材(ダンボール、針金、綿繊維、小枝など)で作られることが多い彼の作品は、形、スケール、展示方法など、不確定要素の狭間で行われる絶え間ない実験の結果である。それらは、見る者に解釈的な反射を捨てさせ、儚くも永続的な、とらえどころのない存在の肯定へと誘導する。
批評家ジェルマノ・セラントの言葉を借りれば「タトルの芸術は真実という概念を避けている。作品に固定された厳格な真理を解釈することは不可能である。この固定性は一過性のものにすぎない。(中略)事物はそれ自身を定義し、禅の精神に則り、それ自身に委ねられるのである。」
リチャード・タトルの作品を取り扱うギャラリー:David Kordansky Gallery (ロサンゼルス、ニューヨーク)、Tomio Koyama Gallery (東京)、Galerie Lelong & co(パリ、ニューヨーク)、Galerie Greta Meert(ブリュッセル)、Pace Gallery(ニューヨーク、ロンドン、ソウル、東京など)、Galerie Schmela(デュッセルドルフ)、Annemarie Verna Galerie(チューリッヒ)など。