ソフィー・ニス
Slide, Slip, Glide
2023
キャンバス地にアクリル絵の具、ホワイトアッシュ
66 x 75 cm
限定20部、作家によるサイン・ナンバリング入り、アーティストプルーフ3部
共同キュレーション:ラファエル・ピレヌ
このエディションのタイトル、「Slide, Slip, Glide」はソフィー・ニスの作品に多く扱われている多義性に言及している。物事は1つの単語に規定され得ず、規定されうる多くの可能性の中を滑走し(Slide)、滑り落ち(Slip)、滑らかに動く(Glide)。このプロジェクトには、その発端となるも退けられたイメージがある。それは「舌」が突き出され、a slip of the tongue(口が滑る)のごとく、何かの過ちが形成されているように受け取れるイメージだった。
舌とは、ソフィー・ニスによると、「体の中で唯一、内側(個人的に)で機能し、外側(公共の場)に表示される、剥き出しの筋肉」であり、それは象徴的でしばしば厚かましいまでの方法による、公共スペースへの親密な侵入を可能にする。言語は翻訳の戯れの中で抜け落ち、多義性は多様な形を取る。丸く輝く太陽が掲示板の下部へ誤って滑り落ちるように、それは赤色の一雫の滑降となる。
その「間違い」はまた色彩的でもある。舌は明確に異なる赤の2層の赤色で構成されている:洋紅色の「クリムゾングローリー」と少し明るい「ピロール」赤の2色で。1つの赤から別の赤への移行は、まるで今後を祈願するかのように、歴史の明暗を転換させる。
「ロリータ、我が命の光、我が腰の炎。我が罪、我が魂。ロ・リー・タ。舌の先が口蓋を三歩下がって、三歩めにそっと歯を叩く。」(ウラジミール・ナボコフ、「ロリータ」、1955年)
文章: ラファエル・ピレヌ
ソフィー・ニスの展示は2023年2月1日 から3月14日の期間、Keijibanにて行われました。