シルヴィ・エイベルグ
these butterfly shades
2023
オフセット印刷
折りたたんだ状態: 17.5 x 26 cm / 広げた状態: 69.6 x 52 cm
限定50部、アーティストによるナンバリング及びスタンプサイン入り。アーティストプルーフ3部、プリンターズ・プルーフ3部、非売10部。
このエディションのタイトルは、シルヴィ・エイベルグが、彼女にとって中心的な人物であるヴァージニア・ウルフの文章から見つけ出したものである。ヴァージニア・ウルフは自身の日記の一節で、マルセル・プルーストについて「彼は最高の感性と最高の粘り強さを兼ね備えており、蝶の影を最後の一粒まで探し出す」と称賛している。実際、エイベルグはおそらくウルフの著作を評して同じことを言うだろう。そして私たちもまた、エイベルグの精密な仕事について同じことを言うことができる。まさに、この比喩的タイトルはマトリョーシカのように機能するのだ。
しかし、ここでウルフ、ひいてはプルーストを引用するのは、インスピレーションを与える人物を引き寄せ、その力を借りるという意味での「参照」ではない。むしろ、「相互テクスト性」、つまり、どんなテクストも他のテクストで満たされており、意図的であろうとなかろうと、様々な形で他のテクストと関連しているという考え方を指摘しているのである。シルヴィ・エイベルグの視覚的・文学的実践は、既存の印刷物を探求し、文字や言葉、イメージの断片を注意深く選び、叙情的で謎めいた構図の中に自由に再構成することにある。
この「these butterfly shades」では、エイベルグは映画雑誌の見開き2ページから、ジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォー、大島渚に捧げられた文章の中にウルフの言葉が存在することを明らかにした。ページに刻まれた文字が連鎖して単語となり、文章となり、まるで隠されたサブテクストのようにウルフの文章の断片を再現している。ページ上の空間化によって言葉が視覚化されるだけでなく、映画の歴史に貫かれ、テクストとイメージの表裏一体で、無尽蔵の相互作用を示しているのである。
シルヴィ・エイベルグの展示は2023年11月15日から 12月14日の期間、Keijibanにて行われました。