シルヴィ・エイベルグ
trois rivières
2021-2022
ムンケンリンクス紙(ラフ)90gにオフセット印刷された冊子
上部に二つの穴開き
16 ページ
31 × 23 cm / 31 x 46 cm (見開き時)
限定33部、作家によるサイン・ナンバリング入り、アーティストプルーフ3部、版元プルーフ3部、非売分21部
trois rivières「三つの川」はそのタイトルが示すように、複数の流れが合流、共存している作品である。様々に異なるインスピレーション、素材、モチーフが結末の開かれた物語を紡いでいる。
この作品には、シルヴィ・エイベルグの過去作品同様に、イメージと言葉が精妙かつ曖昧に共存している。アーティストが蒐集してきた白黒写真-エイベルグの初期プリント作品の主素材である-や、近年のより私的かつ半自伝的なフィルム作品を思わせる、アーティストが撮影したカラー写真とともに、テキストは、見開きページいっぱいに、まるで蒸発するかのように散りばめられている。
これらの要素は、繰り返しやエコー、透かしを駆使して組み合わせられており、音楽的、抒情詩的とも言える「旅への誘い」を形作る。写真に映る人物は、物思いに耽っているのか、単調さに留まっているのか、静止しているように見えるものの、作品全体からは、動いている、移ろう感覚を見る者は受け取ることができる。この逆説的な感覚をエイベルグは「courir dans un rectangle」(四角形の中を走る)という言葉で表現している。この冊子に通底する流動性の感覚は、エイベルグの好きな作家の一人でもあるバージニア・ウルフの、終わりのない変化や内省のシンボルとしての水を意識のアナロジーとする文章とも響き合う。
シルヴィ・エイベルグの展示は2022年1月15日から2月14日の期間、Keijibanにて行われました。