ロータス・カンは1985年、トロント生まれ、ニューヨーク在住。
彫刻、写真、そして場所に応答するインスタレーションを横断するカンの実践は、無常、継承、記憶、時間を探究するものである。不安定な素材をしばしば用いながら、構造的な形態、有機的な形態、そしてエントロピー的な形態が交差する視覚言語を生み出している。そこでは、自己とその環境は、偶発的であり、絶えず変化し続け、切り離すことのできないものとして捉えられている。
カンは、感光性の表面に建築、身体、湿度、光の痕跡を記録する写真用紙やフィルムを、しばしば変容させる。未現像のまま残された工業用フィルムの帯は、作家が「皮膚」と呼ぶものであり、構造体を覆うように垂れ下がったり、天井から吊るされたりする。そこに浮かび上がる影のような痕跡は、幾重にも重なる時間性を生み出し、有機的な形態を想起させる。工業的・建築的な構造、家族や社会の歴史、詩、そして人間以外の存在を手がかりとするカンのインスタレーションは、流動的で物質的な密度を備えながら、意図的に未解決の状態にとどめられている。
近年の個展:ヴェネツィア・ビエンナーレ第61回展のブルガリ・パヴィリオンで開催された「The face of desire is loss」(2026年)、Frye Art Museum(シアトル)の「I hear the hollow boom of time」(2026年)、Mendes Wood(ジャーマンタウン)の「Casket」(2026年)、Kukje Gallery(ソウル)の「Chora」(2026年)、Esther Schipper(ベルリン)の「Borne」(2026年)、52 Walker(ニューヨーク)の「Already」(2025年)など。
作品は、ニューヨーク近代美術館、ニューヨークのグッゲンハイム美術館、シカゴ現代美術館、オンタリオ美術館(トロント)、ロサンゼルス現代美術館、ホイットニー美術館(ニューヨーク)、モーガン・ライブラリー&ミュージアム(ニューヨーク)、モントリオール現代美術館、アムステルダム市立美術館などのコレクションに収蔵されている。
ロータス・カンの作品を取扱うギャラリー:Commonwealth and Council(ロサンゼルス)、Esther Schipper(ベルリン、ニューヨーク、パリ、ソウル)、Franz Kaka(トロント)、Kukje Gallery(ソウル)。